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夏の失敗
「美雨ちゃん、スイカ食べる?」
「食べる!」
夏休み。美雨は従妹の「沙苗おねえちゃん」の家にお泊りに来ていた。午前中は宿題をした後にゲームで遊んで、お昼は素麵を食べた後にデザートにスイカを出してくれた。
真っ赤なスイカは甘くてシャクシャクとしていてとてもおいしい。たくさんあるからと勧められるままに三つも食べてしまった。夜は花火で遊ぶ予定になっている。昼食後は眠気に誘われてしまい、沙苗のベッドで二人で昼寝をしていた美雨だが――。
はっとして目を覚ますと、腰の辺りにぐっしょりと濡れた感覚があった。おねしょをしてしまったと気付いて泣きそうになる。
「ん……美雨ちゃん?」
「沙苗おねえちゃん……ごめんなさい……」
「大丈夫大丈夫。シャワー浴びに行こう?」
沙苗は優しく背中を撫でて慰めてくれた。
「そうだ、せっかくだから浴衣着ない? 私のお古あるから、美雨ちゃんに着てほしいな。金魚の柄で可愛いんだよ」
頷くと、沙苗は嬉しそうに柔らかな笑みを浮かべた。
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